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大阪地方裁判所 平成元年(ワ)9579号 判決 1992年9月22日

原告 三起商行株式会社

被告 山全商事株式会社

主文

一  被告は別紙<1>、<3>、<4>、<5>、<7>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>、<13>、<14>、<15>、<16>、<17>、<18>、<19>及び<20>記載の衣服を販売してはならない。

二  被告はその所持する前記記載の商品を廃棄せよ。

三  被告は原告に対し金一〇二万四六一七円及び内金七一万四六四三円については平成元年一二月三日から、内金三〇万九九七四円については平成二年八月三〇日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の負担、その余を被告の負担とする。

六  この判決の一ないし三項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  主文一、二項同旨

二  被告は原告に対し金一億六八九九万二〇〇〇円及び内金一億六四五九万二〇〇〇円(別紙<1>、<3>、<4>、<5>、<7>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>、<13>及び<14>記載の衣服に関する損害金)については平成元年一二月三日(訴状送達日の翌日)から、内金四四〇万円(別紙<16>ないし<20>記載の衣服に関する損害金)については平成二年八月三〇日(同損害金に関する訴の変更申立書送達日の翌日)から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、本件標章「m i k i H O U S E〔注:ロゴ。以下、ロゴは太字で表記〕」を付し、色彩のコントラストを強調した原告商品が、不正競争防止法一条一項一号にいう商品表示性及び周知性を取得していること、並びに被告販売の被告商品と原告商品との間に混同を生じることを理由に、被告商品の販売停止等と被告商品の販売により原告に生じた損害の賠償を請求する事案である。

一  争点

1  被告商品の販売行為が、不正競争防止法一条一項一号に該当するか否か。即ち、

(一) 本件標章を付し、色彩のコントラストを強調した原告商品が同号所定のいわゆる商品表示性を取得したか否か。

(二) 同原告商品が同号所定のいわゆる周知性を取得したか否か。

(三) 被告商品と同原告商品の商品表示が類似し、両者の間に混同を生じるおそれがあるか否か。

2  以上が肯定された場合、被告の損害賠償責任の成否。

(一) 原告に生じた損害金額。

(二) 被告に故意又は過失があるか。

二  争点に関する当事者の主張

1  争点1(商品表示性、周知性、類似性及び混同のおそれ)

【原告の主張】

(一) 原告の営業

(1)  原告は、昭和五三年九月二一日設立され、当初子供服の製造販売を開始したところ、その斬新なデザイン及びスタイルが好評を博し、年々売上金額が急増した。そこで、昭和五六年頃からは子供服に限らず、青少年や成年を対象にした衣服、衣服に付随するバッグその他の付随商品に営業を拡大したところ、同様に爆発的な好評を博し、平成元年度(八月決算)の総売上高は約三一一億円に達している。

原告の右急進的成長は、後述するように、その商標の特異な表示及び使用形態と、商品の基本的理念に基づくデザイン及びスタイルの一貫性と、絶え間なく投下してきた高額の宣伝広告費とにより、その商標及び商品デザインの結合された総合的イメージが需要者の間で原告の商品を表彰するものとして周知せしめられるよう強くアピールしてきたからに他ならない。

(2)  原告は、右売上増加に伴い、多数の直営店及びオンリーショップを全国に有しており、商品の全国的な販売を展開している(直営店とは、原告において経営している小売店であり、オンリーショップとは、原告に経営権はないが原告の商品だけを取扱い、他社の商品を取扱わない旨の契約を取交わしている小売店のこと)。

平成元年一〇月現在において、右の直営店は一七六店舗、オンリーショップは一六八店舗あり、それ以外に原告の商品を取扱っている衣服等の専門店は約七〇〇店舗ある。右直営店のうち三九店舗、オンリーショップのうち三〇店舗、専門店のうち約二六〇店舗が近畿地方に存在しており、前記総売上高約三一一億円のうち約三五%が近畿地方における売上である。

(二) 原告の商品表示

(1)  原告の商標

原告は、個人会社「三起産業」の営業を承継して設立された株式会社であるが、右三起産業は、当初子供服の商品に「三起」を引用して「トドラーファッションミキ」という商標を使用していたが、その後子供を中心とした家族(ファミリー)を見守っていくという、基盤とする営業方針を明確にするため、昭和五二年に右商標の変更を考えた。しかしながら、「ファミリー」の標章は同業他社が商標として使用していたため、右の「家族」を「家(ハウス)」に置き換えて「ミキハウス」とすることに決定し、その使用を開始した。

その後、昭和五三年八月には右の商標を単に「ミキハウス」と表示するのではなく、「m i k i H O U S E」の英文字で表し、しかも右の文字をあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体に表すことを決定した(以下、この標章を「本件標章」という)。その経緯は、当時、原告の第一号店(京都BAL店)が昭和五三年九月に開店する予定であったが、子供服の枠にとらわれない、等級の高い店舗とするように考え、店舗内装をウッドの什器とココヤシのカーペットとする等、右店舗のイメージを設定するのに伴い、右標章も、ありふれた書体では右店舗のイメージに合致しないため、右のウッドに効果的な赤を基本カラーとして取入れ、書体も色鉛筆を曲げたようなイメージで全体に丸く表しマイルドに表現するように考えたのである。以来、原告は現在まで一貫して本件標章を商品に使用してきている。

しかも、原告は殊更に誇張して商品の出所を表示し品質を保証するために、従来は衣服の襟ネーム部分にのみ商標を表示したり、商標を表示したタッグを吊下げるだけに過ぎなかったのに対して、このような慣行を打ち破り、全ての商品の際立って目立つ箇所に本件標章を顕著に表示し、この表示方法を現在まで一貫して採用している。

(2)  原告の有する商標権(当事者に争いがない)

原告は、別紙原告商標目録記載一ないし四の各商標につき、別紙商標権目録記載のとおりの商標権を有している。

(3)  原告商品の形態と売上の推移

<1> 子供服のデザインは、従来幼児向けとしては衛生感を基調とするため淡い色調が基本とされていた。これに対し、原告が昭和四六年から企画し販売してきた子供服は、右の既成概念を思い切って打ち破り、濃い色調を基本とし、特に衣服中に異なる色彩をとりまぜてコントラストを強調したものであった。また、このようなデザインの衣服の際立って目立つ箇所に本件標章を顕著に表示した。

右色彩のコントラストを強調したデザインの子供服は、従来他社には全く見られず原告が新規に創作したものであり、その商品の品質の優秀性と相まって、需要者の間に爆発的な好評を博し、一挙に原告の業界における地位が確立された。

また、需要者から見れば当時は特に名声のある人物や建物等を意味するものでもない本件標章「m i k i H O U S E」が商品の際立って目立つ箇所に表示されているにもかかわらず、大多数の需要者は右の商品のデザインと品質の優秀性の故に原告の商品を買い求めた。

その結果、需要者の間で原告の商品が流行的存在となり、それに伴い、新たに商品を買い求める需要者は、右の商品の色彩のコントラストと、際立って目立つ箇所に表示された本件標章との結合された全体的形態に購買欲を惹起され、この全体的形態により原告の商品と他社の商品とを区別するようになり、原告の売上は益々増加した。原告の総売上のうち本件標章を使用した子供服の売上推移は次のとおりである。

昭和五三年 約   四億円

昭和五四年 約   八億円

昭和五五年 約  一一億円

昭和五六年 約  一三億円

昭和五七年 約  二五億円

昭和五八年 約  三七億円

昭和五九年 約  六〇億円

昭和六〇年 約 一〇八億円

昭和六一年 約 一三五億円

昭和六二年 約 一五〇億円

昭和六三年 約 一六八億円

平成 元年 約 一八六億円

<2> そこで、原告は、子供服の売上を伸ばす一方で、当初の家族を見守っていくという方針に基づき、昭和五六年から原告の取扱い商品の範囲を、子供服以外の青少年及び成年を対象とした衣服や、衣服に付随するバッグその他の各種商品、更には文房具、おもちゃ、絵本、自転車等に拡大した。

右の青少年や成年を対象とした衣服等の商品は、前述した子供服と全く同様に、色彩のコントラストを強調したデザインと、その衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示された本件標章との結合された全体的形態の点に特徴を具備せしめたものであり、販売当初から急進的な売上の伸びが見られた。原告の総売上のうち本件標章を使用した青少年及び成人対象の衣服の売上の推移は次のとおりである。

昭和五七年 約  一億円

昭和五八年 約  二億円

昭和五九年 約  六億円

昭和六〇年 約 一二億円

昭和六一年 約 二四億円

昭和六二年 約 二六億円

昭和六三年 約 二八億円

平成 元年 約 六二億円

(4)  原告の商品の具体的形態

原告の商品表示は、前述したような色彩のコントラストを強調したデザインと、その商品の際立って目立つ箇所に顕著に表示された本件標章との結合された全体的形態の点にあるが、その代表的なものを挙げると次のとおりである(本項に記載の商品を原告が製造販売している事実は、当事者間に争いがない)。

I 本件表示形態A

<1> 本件表示形態A1(検甲一、甲一六)

ア ボディーが白色、袖が赤色であり、袖の肩部に紺色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーが白色で本件標章が紺色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが紺色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<2> 本件表示形態A2(検甲二、甲一七)

ア ボディー及び袖が灰色であり、袖の肩部に赤色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーが灰色で本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが赤色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<3> 本件表示形態A3(検甲三、甲一八)

ア ボディー及び袖が紺色であり、袖の肩部に赤色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーが紺色で本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが赤色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<4> 本件表示形態A4(検甲四、甲一九)

ア ボディー及び袖が赤色であり、袖の肩部に紺色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーが赤色で本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが紺色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<5> 本件表示形態A5(検甲五、甲二〇)

ア ボディー及び袖が緑色であり、袖の肩部に赤色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーが緑色で本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが赤色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<6> 本件表示形態A6(検甲六、甲二一)

ア ボディー及び袖がカラシ色であり、袖の肩部に黒色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には本件標章を横書きし、かつ、ボディーがカラシ色で本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に本件標章の「m i k i」と「H O U S E」の両頭文字が同じ書体で極めて大きく「m H」と縦書きされ、かつ、その下方に本件標章が横書きに併記され、パッチが黒色で右の「m H」及び本件標章が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<7> 右の本件表示形態A1ないしA6を総合すると、結局、原告の本件表示形態Aの特徴は、「衣服の肩部にパッチを施し、衣服のボディーの胸部に本件標章を横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、右のパッチに「m H」の文字を本件標章と同一書体にて縦書きし、かつ、パッチの地色と右の文字とが色彩のコントラストを有するように表した」点にあるということができる。

II 本件表示形態B

<1> 本件表示形態B1(検甲七、甲二二)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を濃紺色、下部を赤色としたTシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<2> 本件表示形態B2(検甲八、甲二三)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を濃紺色、下部を赤色としたトレーナーである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

エ 長袖とされた袖部の肘部分に赤色のパッチを有している。

<3> 本件表示形態B3(検甲九、甲二四)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としたトレーナーである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

エ 長袖とされた袖部の肘部分に濃紺色のパッチを有している。

<4> 本件表示形態B4(検甲二九、甲六一二)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としたTシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<5> 本件表示形態Bの特徴

本件表示形態B1ないしB4を総合すると、結局、原告の本件表示形態Bの特徴は、「衣服のボディーを、脇部分を境として上下色違いに色分け、上下の一方を赤色とし、他方を濃紺色とし、衣服のボディーの胸部に本件標章を横書きし、かつ、ボディーの地色と右の標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した」点にあるということができる。

III  本件表示形態C

<1> 本件表示形態C1(検甲一〇、甲二五)

ア ボディーを白色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に本件標章を赤色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を赤色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<2> 本件表示形態C2(検甲一一、甲二六)

ア ボディーを赤色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<3> 本件表示形態Cの特徴

右の本件表示形態C1及びC2を総合すると、結局、原告の本件表示形態Cの特徴は、「衣服のボディーの左胸部に本件標章を横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した」点にあるということができる。

IV 本件表示形態D

<1> 本件表示形態D1(検甲一二、甲二七)

ア ボディーをカラシ色としたトレーナーである。

イ ボディーの胸部において、中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背部において、本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<2> 本件表示形態D2(検甲一三、甲二八)

ア ボディーを白色としたトレーナーである。

イ ボディーの胸部において、中央に本件標章を赤色で横書きしている。

ウ ボディーの背部において、本件標章を赤色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<3> 本件表示形態D3(検甲一四、甲二九)

ア ボディーを赤色としたトレーナーである。

イ ボディーの胸部において、中央に本件標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背部において、本件標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<4> 本件表示形態Dの特徴

右の本件表示形態D1ないしD3を総合すると、結局、原告の本件表示形態Dの特徴は、「衣服のボディーの胸部の中央に本件標章を横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつ、ボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した」点にあるということができる。

(三) 原告の商品表示の周知性

(1)  原告の宣伝広告

前述のとおり、原告は急速な成長を遂げ、業界において確固たる地位を占め、原告の本件標章及びこれに化体した名声は需要者間に広く浸透するに至っているが、これは前述の原告の商品デザインと本件標章の結合による全体的商品イメージが特異であるだけでなく、原告において絶え間無くこれを宣伝広告してきたからに外ならない。原告においては、昭和五五年からテレビコマーシャルを初めとして多額の宣伝広告費を予算に計上し、本件標章及び原告商品のイメージアップに多大の努力を払ってきた。原告のした宣伝広告は次のとおりである(本項に記載の宣伝広告がされた事実は、当事者間に争いがない)。

I テレビコマーシャル

<1> 昭和五五年八月、九月に甲第三〇号証記載のCMスポットを合計二〇八〇万円を投じて行った。

<2> 昭和五六年八月、九月に甲第三一、三二号証記載のCMスポットを、関西ではABC及びKTV、関東ではTBSを通じて、合計二〇〇〇万円を投じて行った。

<3> 昭和五七年には、関西ではMBS及びABCを通じて三~四月の間及び七~一〇月の間に、またKTVを通じて七~八月の間に、関東ではCXを通じて四月と九~一〇月の間に、甲第三二、三三、三四、三六号証記載のCMスポットを、合計一億二〇〇〇万円を投じて行った。また、四月の一か月間は、ANB系の天気予報番組において右のCMスポットを合計一五〇〇万円を投じて全国的に行った。

<4> 昭和五八年の正月には、甲第三二、三三、三四、三六号証記載のCMスポットを、ABCの番組「新春映画大会マイウエイ」、MBSの番組「元旦早々タモリで最高」、MBSの番組「迎春」、KTVの番組「やすしきよしの弥次喜多珍道中」、KTVの番組「新春パンチDEデート」、YTVの番組「お笑いスター誕生スペシャル」、TBSの番組「天気予報」、CXの番組「オレたちひょうきん族傑作集」を通じて、合計五五〇万円を投じて行った。

また、同年四月~五月の間及び八~九月の間は、甲第三五、三六号証記載のCMスポットを、ABC、MBC、YTC、CX、TBS及びKTVを通じて、スポットとして、合計一億一七〇〇万円を投じて行った。

甲第三五、三六号証のCMスポットは、同年四~九月の間の各金曜日にTBS系二五局で放映された番組「金曜ドラマ」、七月の各日曜日にTBS系二五局で放映された番組「笑いころげてたっぷり枝雀」、七~九月間の各金曜日にNTV系二九局で放映された番組「若草学園物語」、七月の各月曜日から金曜日の毎日CX系で放映された番組「北の国から」、七月一日にTVOで放映された番組「メガポリス歌謡祭」を通じて、また甲第三七号証記載のCMスポットは、同年九月二三日にCX系二三局で放映された番組「恋人よ我に帰れ」、九月一二日にANB系一一局で放映された番組「ガンジスに陽は昇る」、九月一五日にMBSで放映された番組「戦いの残像ベトナムの子供達」、一〇~一二月の間の各土曜日にANB系一二局で放映された番組「Oh!ワンダーランド」、一〇~一二月の間の各金曜日にCX系二二局で放映された番組「金曜劇場」を通じて、合計一億七五一〇万円を投じて行われた。

<5> 昭和五九年においては、甲第三八~四〇号証記載のCMスポットが、一~三月の間の各週にANB系一二局で放映された番組「Oh!ワンダーランド」、一~九月の間の各週にCX系二二局で放映された番組「金曜劇場」、四~一二月の間の各週にTBS系二五局で放映された番組「野性の王国」、七~九月の間の各水曜日にTBS系二五局で放映された番組「水曜ドラマ週末だけの恋人」、七~九月の間の各日曜日にTBS系二五局で放映された番組「クイズミスターロンリー」、一〇~一一月の間の各木曜日にCX系で放映された番組「木曜ファミリーワイド」、一〇~一二月の各週にKTVで放映された番組「ノンストップゲーム」、一〇~一二月の間の各日曜日にNTVで放映された番組「天気予報」、一二月二四日にANBで放映された番組「Xmasスペシャルかわうそエメットの冒険」を通じて、合計四億一四九九万円を投じて行われた。

また、右の甲第三八~四〇号証記載のCMスポットは、同年八月一日から一九日までの間にCX及びTBSにより、同年七月二一日から八月一九日までの間にMBS、KTV及びYTVにより、合計五〇〇〇万円を投じてスポットとして放映された。

<6> 昭和六〇年には、甲第四一~四四号証記載のCMスポットが、一~一二月の一年間の各週にTBS系二五局で放映された番組「野性の王国」、一~三月の間の各週にKTVで放映された番組「ノンストップゲーム」、一~九月の各日曜日にNTVで放映された番組「天気予報」、一~一二月の各金曜日にNTV系で放映された番組「金曜ロードショウ」、五~七月の間の各水曜日にCX系で放映された番組「Drスランプ」、一〇~一二月の間の各木曜日にCX系で放映された番組「木曜劇場」、八月一四日から九月二七日までの間の月曜から金曜までの隔日にCX系で放映された番組「ヒラケ!ポンキッキ」、一月二日にTBS系で放映された番組「日本昔ばなしスペシャル」、一月の各土曜日にANB系二一局で放映された番組「土曜の朝に」、一月の各週にTBS系二五局で放映された番組「貴女も社長ハイ&ロー」、五月二五日にTBS系で放映された番組「女たちのワールドレディースチャリティーバザール」、六月一四日にANB系で放映された番組「宇宙二〇〇億年の旅」、六月二三日にKTVで放映された番組「どきゅめんとオルカ」、一~三月の間の各月曜日にCX系で放映された番組「月曜ドラマランド」、八月二四日から九月四日までの間にサンTVで放映された番組「ユニバーシアード」、一二月二四日にTBS系で放映された番組「Xmasアニメスペシャル サンタとこぐまのクリスマス」を通じて、合計一〇億五八九九万円を投じて行われた。

更に、同年九月一二~二六日には、右の甲第四一~四四号証記載のCMスポットを、TBS系で三五回、CX系で三五回、MBS系で八六回、ABC系で一一〇回、合計三〇〇〇万円を投じて行った。

<7> 昭和六一年には、甲第四五~四八号証のCMスポットが、四~一二月の間の各日曜日にANB系一三局で放映された番組「地球大すき!大冒険!」、一~一〇月の間の各金曜日にTBS系二五局で放映された番組「野性の王国」、一~九月の間の各金曜日にNTV系で放映された番組「金曜ロードショウ」、一~九月の間の各金曜日にANB系で放映された番組「ドラえもん」、一~三月の間の各木曜日にCX系で放映された番組「木曜劇場」、一〇~一二月の間の各日曜日にTBS系一六局で放映された番組「世界は夢家族」を通じて、また、四月一四~二〇日の間にANB及びABCで前述した「地球大すき!大冒険!」の番組宣伝用スポットを通じて、合計一四億五三四六万円を投じて行われた。

<8> 昭和六二年には、甲第四九~五二号証記載のCMスポットが、一~一二月の一年間の各週にANB系一三局で放映された番組「地球大すき!大冒険!」、一~三月の間の各日曜日にTBS系一六局で放映された番組「世界は夢家族」、四~九月の間の各日曜日にTBS系一六局で放映された番組「ハロー!人間グラフィティー」、一〇~一二月の間の各木曜日にCX系二五局で放映された番組「なんてったって好奇心」、一〇~一二月の間の各水曜日にCX系二三局で放映された番組「ドラゴンボール」、一〇月一日にCX系二三局で放映された番組「子猫物語」を通じて、合計一六億二一三〇万円を投じて行われた。

<9> 昭和六三年には、甲第五二、五三号証記載のCMスポットが、一~一二月の間の各日曜日にANB系一三局で放映された番組「地球は僕らの宝島」、一~九月の間の各木曜日にCX系二五局で放映された番組「なんてったって好奇心」、一~九月の間の各水曜日にCX系二三局で放映された番組「ドラゴンボール」、また、ANB及びABC系の「地球大すき」の番組宣伝用スポットを通じて、更に、一〇~一二月の間の各土曜日にNTV系で放映された番組「土曜ドラマ 新婚物語」、一〇~一二月の間の各金曜日にTX系で放映された番組「ハロー動物ファミリー」、一二月二一日にCX系で放映された番組「シェイクハンド」を通じて、合計一六億二六二〇万円を投じて行われた。

<10> 平成元年は、甲第五四~六一号証記載のCMスポットが、一~八月現在の間の各日曜日にANB系及びITC系で放映されている番組「地球は僕らの宝島」、各土曜日にNTV系で放映された番組「土曜ドラマ」について、一月は番組「新婚物語」、二~三月は番組「明日はアシタの風が吹く」、四~五月は番組「池中玄太八〇キロ」、六~七月は番組「湘南物語」、八月は番組「会いたくて」を通じて、八月末現在までに合計九億五六六一万円を投じて行われており、同年中にテレビコマーシャルのために投入された資金合計は一八億三〇〇万円に達する。

II 雑誌広告

原告は、甲第六三~第五九九号証に示される通り、膨大な量の広告を雑誌類に掲載してきた。右の広告は、全て原告の色鉛筆を曲げたような丸みを有する書体の本件標章が際立って目立つように表示され、必ず本件標章と赤色と白色によるコントラストのように、地色と標章の色とによるコントラストを強調している。

また、広告中の多くには原告の衣服を着用したファッションモデルの写真が掲載され、その衣服は、前述したように、本件標章を衣服の胸や背に大きく目立って表示し、しかも生地の色と標章の色にコントラストを強調せしめている。

III  その他

<1> 右の他に、原告は、本件標章を表示した看板を随所に掲示しており(甲六〇〇~六〇三)、その際看板の地色と本件標章の色とを、赤色と白色のコントラストにより表している。

<2> また、原告の営業用自動車車体には全て本件標章を際立って大きく表示し、しかも自動車の地色と本件標章の色とを、赤色と白色のコントラストにより表している(甲六〇四~六〇七)。

(2)  本件表示形態AないしDの商品の販売数量

前述した原告の本件表示形態A~Dに係る商品の販売数量は次のとおりである。

<1> 本件表示形態Aの商品

昭和六〇年に一一万三八二七枚

<2> 本件表示形態Bの商品

昭和六〇年から平成元年六月までに五二万〇五九〇枚

<3> 本件表示形態Cの商品

昭和六一年から平成元年六月までに七五万一八四〇枚

<4> 本件表示形態Dの商品

昭和五九年から昭和六三年までに六一万〇〇九三枚

(3)  周知性

右の結果、原告の商品表示としては次のものが周知である。

<1> 「m i k i H O U S E」の英文字をあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で表してなる本件標章を表示し、この本件標章を衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示し、しかも商品の地色と本件標章との色彩のコントラストを強調した点(以下「原告の基本的商品表示」という)

これにより、単に「ミキハウス」の呼称としてではなく、右の特殊な書体と色彩のコントラストに表示態様の特徴を持たせ、その全体として原告からの出所に係る商品であることを表示しているものであり、これが遅くとも昭和五九年には需要者間に周知となった。

<2> 本件表示形態Aのように、肩部にパッチを施した衣服の商品において、ボディーの胸部に本件標章を大きく、かつボディーの地色と本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、パッチに「m H」の文字を縦書きし、かつパッチの地色と右の文字とが色彩のコントラストを有するように表した点(以下「原告の商品表示A」という)

右の原告の商品表示Aは、胸部に原告の基本的商品表示を含むものであるから、当然に原告の商品を表示するものとして需要者間に周知になっているが、更に右のパッチ部分の特殊な表示形態を加味することにより、基本的商品表示以上に原告の商品を一層特徴付け、しかも本件表示形態A1ないしA6に係る商品群の全体を総括的に表示するものであり、これが原告の商品表示として遅くとも昭和六〇年には需要者間に周知となった。

<3> 本件表示形態Bのように、衣服のボディーを、脇部分を境として上下色違いに色分け、上下一方を赤色とし、他方を濃紺色とし、衣服のボディーの胸部に本件標章を横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した点(以下「原告の商品表示B」という)

右の原告の商品表示Bは、胸部及び背部に原告の基本的商品表示を含むものであるから、当然に原告の商品を表示するものとして需要者間に周知となっているが、更に衣服のボディーを上下に赤色と濃紺色により色分けた点と、背部において本件標章を両袖にわたるように特大に表した点との特殊な表示形態を加味することにより、基本的商品表示以上に原告の商品を一層特徴付け、しかも原告の本件表示形態B1ないしB4に係る商品群の全体を総括的に表示するものであり、これが原告の商品表示として遅くとも昭和六〇年には需要者間に周知となった。

<4> 本件表示形態Cのように、衣服のボディーの左胸部に本件標章を横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した点(以下「原告の商品表示C」という)

右の原告の商品表示Cは、左胸部及び背部に原告の基本的商品表示を含むものであるから、当然に原告の商品を表示するものとして需要者間に周知となっているものであるが、更に胸部の本件標章を左胸に偏位して表した点と、背部の本件標章を両袖にわたるように特大に表した点との特殊な表示形態を加味することにより、基本的商品表示以上に原告の商品を一層特徴付け、しかも原告の本件表示形態C1及びC2に係る商品群の全体を総括的に表示するものであり、これが原告の商品表示として遅くとも昭和六一年には需要者間に周知となった。

<5> 本件表示形態Dのように、衣服のボディーの胸部の中央に本件標章を横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表し、衣服のボディーの背部に本件標章を両袖にわたるように特大に横書きし、かつボディーの地色と右の本件標章とが色彩のコントラストを有するように表した点(以下「原告の商品表示D」という)

右の原告の商品表示Dは、胸部及び背部に原告の基本的商品表示を含むものであるから、当然に原告の商品を表示するものとして需要者間に周知となっているものであるが、更に胸部の本件標章を中央に表した点と、背部の本件標章を両袖にわたるように特大に表した点との特殊な表示形態を加味することにより、基本的商品表示以上に原告の商品を一層特徴付け、しかも原告の本件表示形態D1ないしD3に係る商品群の全体を総括的に表示するものであり、これが原告の商品表示として遅くとも昭和五九年には需要者間に周知となった。

(四) 被告の営業

被告は、紳士服・婦人服・子供服の製造販売をしている株式会社であり、<1>東大阪市長瀬駅前、<2>和泉市府中駅前、<3>堺市光明池駅前、<4>神戸市三宮駅前、<5>大阪市道頓堀、<6>軽井沢に直営の小売店舗を有している(当事者間に争いがない)。

(五) 被告の商品

被告は次の商品を販売している(当事者間に争いがない。一括したときは、「被告商品」という)。

<1> 次の特徴を有する、別紙<1>記載のパッチ付トレーナー(以下「イ号商品」という)

ア ボディーが白色、袖が赤色であり、袖の肩部に紺色のパッチを施したトレーナーである。

イ ボディーの胸部の中央には、「m i k i S P O R T S」の英文字を、あたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体に表してなる標章(以下「被告標章」という)が大きく横書きされ、ボディーが白色で右被告標章が紺色とされた色彩のコントラストを有する。

ウ パッチには、それぞれ左右側方から見たとき、上側に被告標章の「m i k i」と「S P O R T S」の両頭文字を同じ書体で表した「m S」の標章を大きく縦書きし、パッチが紺色で右の「m S」が白色とされた色彩のコントラストを有する。

<2> 次の特徴を有する、別紙<3>記載の上下色分けTシャツ(以下「ロ号商品」という。検甲一六)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を濃紺色、下部を赤色としたTシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<3> 次の特徴を有する、別紙<4>記載の上下色分けTシャツ(以下「ハ号商品」という。検甲一七)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としたTシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<4> 次の特徴を有する、別紙<5>記載の上下色分けトレーナー(以下「ニ号商品」という。検甲一八)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としてトレーナーである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

エ 長袖とされた袖部の肘部分に濃紺色のパッチを有している。

<5> 次の特徴を有する、別紙<7>記載のポロシャツ(以下「ホ号商品」という。検甲一九)

ア ボディーを白色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を「m i k i」と「S P O R T S」とに分けて二段に横書きした布片を貼布し、布片の地色を白色、右被告標章を赤色としている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を赤色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<6> 次の特徴を有する、別紙<8>記載のポロシャツ(以下「ヘ号商品」という。検甲二〇)

ア ボディーを赤色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を「m i k i」と「S P O R T S」とに分けて二段に横書きした布片を貼布し、布片の地色を白色、右被告標章を赤色としている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<7> 次の特徴を有する、別紙<9>記載のポロシャツ(以下「ト号商品」という。検甲二一)

ア ボディーを黒色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<8> 次の特徴を有する、別紙<10>記載のトレーナー(以下「チ号商品」という。検甲二二)

ア ボディーをカラシ色としたトレーナーである。

イ ボディーの正面胸部において、中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<9> 次の特徴を有する、別紙<11>記載のトレーナー(以下「リ号商品」という。検甲二三)

ア ボディーを白色としたトレーナーである。

イ ボディーの正面胸部において、中央に被告標章を濃紺色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を濃紺色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<10> 次の特徴を有する、別紙<12>記載のトレーナー(以下「ヌ号商品」という。検甲二四)

ア ボディーを黒色としたトレーナーである。

イ ボディーの正面胸部において、中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<11> 次の特徴を有する、別紙<13>記載のパーカー(以下「ル号商品」という。検甲二五)

ア ボディーを赤色としたパーカーである。

イ ボディーの正面胸部において、中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<12> 次の特徴を有する、別紙<14>記載の半袖トレーナー(以下「ヲ号商品」という。検甲二六)

ア ボディーを赤色とした半袖トレーナーである。

イ ボディーの正面胸部において、中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<13> 次の特徴を有する、別紙<16>記載の上下色分けポロシャツ(以下「ワ号商品」という。検甲三〇)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を濃紺色、下部を赤色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<14> 次の特徴を有する、別紙<17>記載の上下色分けポロシャツ(以下「カ号商品」という。検甲三一)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<15> 次の特徴を有する、別紙<18>記載の上下色分けTシャツ(以下「ヨ号商品」という。検甲三二)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を赤色、下部を濃紺色としたTシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<16> 次の特徴を有する、別紙<19>記載の上下色分けポロシャツ(以下「タ号商品」という。検甲三三)

ア ボディーを脇部分を境として上下色違いに色分け、上部を緑色、下部を濃紺色としたポロシャツである。

イ ボディーの正面において、左胸部に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

<17> 次の特徴を有する、別紙<20>記載のシャツ(以下「レ号商品」という。検甲三四)

ア ボディーを赤色としたシャツである。

イ ボディーの正面において、胸部の中央に被告標章を白色で横書きしている。

ウ ボディーの背面において、背部に被告標章を白色で両袖にわたるように特大に横書きしている。

(六) 原告商品と被告商品との混同のおそれ

(1)  被告のイ号ないしレ号商品に表示された右形態は、原告の商品を表示するものとして需要者間に周知されている本件表示形態AないしDと類似し、その結果、被告のこれら商品は市場において原告の商品と混同を生じるものである。

<1> イ号商品

イ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Aと類似する。特に、原告の本件表示形態A1と酷似している。したがって、需要者はイ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<2> ロ号商品

ロ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。特に、原告の本件表示形態B1と酷似している。したがって、需要者はロ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<3> ハ号商品

ハ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。原告の本件表示形態B1ないしB3により表彰される原告の商品表示Bと彼此識別が困難である。したがって、需要者はハ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<4> ニ号商品

ニ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。特に、原告の本件表示形態B3と酷似している。したがって、需要者はニ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<5> ホ号商品

ホ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Cと類似する。特に、原告の本件表示形態C1と酷似している。したがって、需要者はホ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<6> ヘ号商品

ヘ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Cと類似する。特に、原告の本件表示形態C2と酷似している。したがって、需要者はヘ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<7> ト号商品

ト号商品に表示された形態は、原告の商品表示Cと類似する。原告の本件表示形態C1及びC2により表彰される原告の商品表示Cと彼此識別が困難である。したがって、需要者はト号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<8> チ号商品

チ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類似する。特に、原告の本件表示形態D1と酷似している。したがって、需要者はチ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<9> リ号商品

リ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類似する。原告の本件表示形態D1ないしD3により表彰される原告の商品表示Dと彼此識別が困難である。したがって、需要者はリ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<10> ヌ号商品

ヌ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類似する。原告の本件表示形態D1ないしD3により表彰される原告の商品表示Dと彼此識別が困難である。したがって、需要者はヌ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<11> ル号商品

ル号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類似する。原告の本件表示形態D1ないしD3により表彰される原告の商品表示Dと彼此識別が困難である。したがって、需要者はル号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<12> ヲ号商品

ヲ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類する。特に、原告の本件表示形態D3と酷似している。したがって、需要者はヲ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<13> ワ号商品

ワ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。特に、原告の本件表示形態B1と酷似している。したがって、需要者はワ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<14> カ号商品

カ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。特に、原告の本件表示形態B4と酷似している。したがって、需要者はカ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<15> ヨ号商品

ヨ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Bと類似する。特に、原告の本件表示形態B4と酷似している。したがって、需要者はヨ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

<16> タ号商品

タ号商品に表示された形態は、原告の商品表示B及び同Cと類似する。したがって、需要者はタ号商品と原告の右の表示形態を備えた商品を混同する。

<17> レ号商品

レ号商品に表示された形態は、原告の商品表示Dと類似する。原告の本件表示形態D1ないしD3により表彰される原告の商品表示Dと彼此識別が困難である。したがって、需要者はレ号商品と原告の右表示形態を備えた商品を混同する。

(2)  昭和六三年に、本訴請求原因と同旨の被保全権利を主張して、原告は被告を被申請人としてイ号商品と類似する一連の被告の商品の販売禁止を求める仮処分申請をした(当庁昭和六三年(ヨ)第三五〇七号)。右事件は裁判上の和解により終了したが、その和解条項第二項には、「被申請人は、別紙九記載の表示を衣服に使用し又はこれを使用した商品衣服を販売しない」と明記されていた(本項に記載の仮処分申請があり、同事件が裁判上の和解により終了したことは、当事者間に争いがない)。

右和解条項第二項の別紙九には、「衣服の肩部にパッチを施し、衣服のボディーの胸部に被申請人標章1を大きく横書きし且つボディーの地色と右の標章とが色彩のコントラストを有するように表し、右のパッチに被申請人標章2又は3を表し且つパッチの地色と右の標章とが色彩のコントラストを有するように表されてなる表示」と記載されており、右の「被申請人標章3」とは、縦書きされた大きな「m S」の文字の下に小さく「m i k i S P O R T S」の文字を付記的に横書きしたものであった。しかるに、本訴におけるイ号商品は、右和解条項第二項所定の別紙九の「被申請人標章3」から付記的に小さく横書きされた「m i k i S P O R T S」の文字を削除しただけのものである。即ち、被告は、先に衣服に使用しないと訴訟上の和解で定めた商品の表示形態から、付記的な部分のみを削除することにより、改めて原告の商品と混同を生じる被告商品を販売しているのである。

(3)  被告は、原告の商品のうち、爆発的に好評を博した所謂売れ筋の商品に焦点を当て、その商品の表示形態を被告商品に取り入れ、被告商品を販売している。

被告が原告の商品をそのままコピーすることなく、唯一相違点としている点は、本件標章の「m i k i H O U S E」に対し、その後半部を変更し、被告標章のように「m i k i S P O R T S」としている点のみである。

この点に関し、本件標章と被告標章を、その呼称のみを取り上げて対比する限りは、右の「H O U S E」と「S P O R T S」の差異に相当するだけの相違を有することが認められるけれども、これが商品に表示された全体としての商品表示形態として見たとき、右の「H O U S E」と「S P O R T S」の差異に相当するだけの相違を見出すことができない。

蓋し、第一に、被告標章は、あえて文字の書体を原告標章と類似させるように、色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で表し、これにより、本来、「H O U S E」と「S P O R T S」が有すべき前述の差異を、外観上では殊更に減殺している。

第二に、被告は、被告標章を含む商品の表示形態を、全体として、原告の商品表示にあえて酷似せしめ、本来ならば前記相違点により自己の標章をして自己の出所表示機能を期待すべきであるのに、むしろ反対に、商品表示形態の全体中に前記相違点を埋没させ、自己の出所表示機能を期待するような方法を用いていない。

第三に、原告の本件標章は国内において需要者間に極めて周知されており、これが周知であるのは、単に「ミキハウス」の呼称としてではなく、原告の基本的商品表示とされた、本件標章をあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で表し、この標章を衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示し、しかも商品の地色と本件標章との色彩のコントラストを強調した点においても周知である。このため、原告の基本的商品表示のうちの本件標章の後半部分を別呼称としたからといって、全体的な商品の形態及び表示までも、需要者が彼此識別できるようになるということはできない。特に、被告の商品は、原告の基本的商品表示と類似する結果、需要者が原告の商品のうちのスポーツ用を対象としてのもの(例えばテニス用)という程度に考えるに過ぎず、混同を免れるものではない。

第四に、原告は、従来より、本件標章を使用するに際し、商品に「Do sports」の文字を併記したり(甲六六の5~7枚目、甲六七の10枚目、甲八八の5枚目、甲八九の6枚目、甲一九九の2枚目、甲四七七の7枚目、それぞれ写真中の上着の背部を参照)、「SPORTS CLUB」の文字を併記することがあり(甲一〇六の2枚目写真中の上着の胸部を参照)、「sports」の文字と親和性を有し、これを需要者の間に広く知らしめている。このため、被告標章が「sports」の文字を有することは、需要者に対して何ら原告の商品表示と異なる印象を与えるものではない。

(4)  原告の本件標章を使用した商品と、被告標章と同一の標章を使用した商品とが混同されている事実がある。即ち、当庁平成元年(ヨ)第二九八四号商標権侵害禁止仮処分命令申請事件(被申請人・ワールド物産株式会社)の仮処分命令の執行のため被申請人ワールド物産株式会社に赴いた際、同社の店舗には、原告の商品をコピーした韓国製のトレーナーと、被告の商品のコピーと思われる韓国製のトレーナーとが同時に展示販売されていた。右両トレーナーは、被申請人ワールド物産株式会社が韓国において仕入れ、これを同社の店舗で販売していたものであるが、同社自身が「m i k i H O U S E」と表示した商品と「m i k i S P O R T S」と表示した商品とを同一出所と混同していることの証左である。

(5)  したがって、被告商品が原告商品と混同されるおそれがある。

【被告の主張】

(一) 原告の基本的商品表示の主張について

原告が原告の基本的商品表示として主張するところの特徴は、原告の商品に独特のものではなく、以下に述べるとおり従前よりあったものである。

(1)  先ず、原告主張の書体であるが、これは原告のみに特徴的なものではなく、「丸棒軸を曲げたような丸みを帯びたローマ字」が一つの見本的な文字として紹介されており(乙一)、「欧文であって太丸ゴチック体」の文字として、原告主張と類似の文字が「見本」として紹介されている(乙二)。また、「色鉛筆を曲げたような丸みのある文字」についても、一般に市販されている雑誌等においても、その文字を標章として表した商品が掲載されている(乙三)。更に、雑誌には「色鉛筆を曲げたような丸みのあるローマ文字で構成した標章」を「胸部」に表した衣服が掲載されている(乙四の1、2)。以上から明らかなように、これらの書体は、原告の商品に独自のものではなく、一般需要者にとって通常の書体と認識されており、格別特殊なものではない。

(2)  原告主張の「衣服の際立って目立つ箇所に顕著に標章を施した」商品は、原告の設立前より多種類存在し、かつ現在まで不特定多数の業者によって普遍的に製造販売されている。即ち、衣服の胸部、背部又は肩部、袖部にローマ文字の標章を施したものは枚挙にいとまがなく、従来より今日まで市場には各種各様の標章を施した衣服が多種類大量に出回っている。更に、衣服の地色に対して、異なる色彩で標章を顕著に施すことは、一般に用いられてきている。その具体例を摘示すれば次のとおりである。

乙第五号証は、特許庁発行の意匠公報の中で、胸部及び背部にデザイン文字等の図形マークを施した衣服に関するものであるが、その中でも以下のような原告商品類似のものが多数存在する(以下の番号は意匠登録番号)。即ち、<1>袖部とボディー部が色違いで、胸部に図形マークを施したもの(第三九九五一九号・昭和五〇年二月登録)、<2>胸部左側に小型の図形、背部にこの図形を拡大した大図形を施したもの(第四五二九四二号・昭和五二年三月登録)、<3>胸部と両肩部に同じ図形を施したもの(第五一二五三三号・昭和五四年六月登録)、<4>胸部に図形とローマ字を横書きしたもの(第五二九〇八六号・昭和五五年一月登録)、<5>胸部にデザイン文字、背部にデザイン漢字を大書したもの(第五五一六〇七号・昭和五六年一月登録)、<6>胸部及び背部にデザイン文字を施したもの(第五五七六八号・昭和五六年四月登録)、<7>胸部の左側に小型のデザイン文字、背部にデザイン文字を大書したもの(第五六一〇六四号・昭和五六年六月登録)、<8>胸部に図形、背部にデザイン文字を大書したもの(第七三九二四一号・昭和六三年四月登録)、<9>胸部に図形とデザイン文字を施したもの(第六九七三五三号・昭和六一年九月登録)、<10>胸部にデザイン文字を施したもの(第七四〇三〇五号・昭和六三年四月登録)等がある。

乙第六号証(捜査参考図)の七一頁には、胸部の右側に標章を施したトレーナーが、九二頁には胸部の中央に標章を施したTシャツが記載されている。これらは特定の商品を示しておらず、一般によくあるものの一つとして例示されているのである。乙第七号証(通信販売の雑誌)にも、胸部にローマ字で構成された標章を施した衣服が商品として紹介されている。乙第八号証(意匠公報)にも、脇を堺としてボディーの上下が色違い(上部と袖部が同色)の衣服のデザインが登載されている。乙第九、一〇号証(スポーツ関係の書物)も、胸部と背部及び肩部に文字(標章)を施したものが記載されている。乙第一一号証(スキージャーナル)にも、<1>ボディーと袖部が色違いで、肘に色違いのパッチを施したもの、<2>脇を境にボディーの上下を色違いとし(また肩部と袖部を色違いとし)かつ胸部に標章を施したもの、<3>胸部の左側に小さい商標、背部に大書した商標を施したもの、脇を境としてボディーの上下を色違いとし、胸部と肩部に標章を施したものが掲載されている。乙第一二号証(映画雑誌)にも、Tシャツの胸部に標章を施したものが掲載されている。乙第一三号証(モーターマガジン)にも、胸部に標章を施し、ボディーの地色に対し上腕部及び肩部をそれぞれ異なる色としたものや、胸部に各種の商標を施した商品が掲載されている。乙第一四号証(新現代衣料辞典)にも、胸部に標章を施した商品、脇を境としてボディーの上下を色違いとし胸部に商標を施したものや、肩部に色違いのパッチを施した商品が掲載されている。乙第一五号証にも、胸部に商標を施したシャツが掲載されている。乙第一六号証(スポーツライフカタログ)にも類似のものが多数掲載されており、その三八、三九、五二、九五頁には、胸部に標章を施したTシャツが、七七頁には背部に標章を大書したTシャツが、一〇四頁には胸部と背部にそれぞれ標章を施したTシャツが、一一六頁には肩部に文字を施した衣服が、一二二頁には背部に標章を施したシャツが掲載されている。乙第一七号証にも、肩部に色違いのパッチを施し、胸部に商標を施したシャツが紹介されている。乙第一八号証(映画雑誌)は大ヒットした「未知との遭遇」の一シーンを掲載しているが、その主人公の着ているTシャツの胸部にも標章が施されている。乙第一九号証(ファッションビジネス基礎用語辞典)の二〇頁には、色違いの肩パッチを施した衣服が、一〇三頁にはボディーと袖部が色違いで胸部に文字を施したジャンパーが、一〇六頁には脇を境としてボディーを上下色違いにしたシャツが登載されている。このような一般的なデザインを紹介する書物にも右の如きデザインが掲載されているのである。乙第二〇号証においても、胸部及び背部に各種標章を施した衣服が掲載されており、殊にその一二、一三、二二頁には胸部左側に小さい標章、背部には同標章を大書した衣服が掲載されている。乙第二一号証(サッカー雑誌)にも、胸部に標章を施したトレーナー、脇を境としてボディーの上下を色違いとし、かつ胸部に商標を施した衣服が掲載されている。乙第二二号証にも、胸部と肩部及び上腕部に標章を施し、かつ背部にも標章を施したウインドブレーカーが、また胸部及び肩部に標章を施した衣服が掲載されている。乙第二三号証の二九頁には、ボディーと肩部をそれぞれ色違いとし、胸部に商標を施したもの、三二頁には色違いの肩パッチを備え胸部に商標を施したものが掲載されている。乙第二四号証(カタログ)の六、二九頁にも、胸部及び背部に商標を施した衣服が掲載されている。乙第二五号証にも同様の商品の記載がある。乙第二六号証(通信販売の雑誌)にも胸部に各種標章を施した衣服が多数掲載されており、殊にその三五四頁と四一六頁には、ボディーに対し両袖部にわたって標章を施した衣服が、三五一頁と三九二頁には、胸部に標章、背部に標章を施した衣服が掲載されている。

(二) 原告主張の本件表示形態について

(1)  本件表示形態Aについて

原告が昭和六〇年に原告出所に係るものとして周知になったと主張する、本件表示形態Aも、原告の商品に特殊なものではない。即ち、乙第二七号証(意匠公報)には、衣服の肩部及び肘部にパッチを施した意匠の登載がある。そのうち、意匠登録第三七八〇八号及び同第三八四一七一号の意匠は、既に権利期間一五年が満了し、現在は誰でも自由にこの意匠を実施できるものである。更に、乙第九、一〇、一一、一三、一四、一七、一九、二一、二二及び二三号証には、本件表示形態Aに類似のものが公開されている。即ち、色違いの肩パッチを持ち、胸部に標章を顕著に表示し、かつ色違いの肩部(パッチ部)に標章(文字)を施したものである。

これからも明らかなように、本件表示形態A及びこれに類似のものは、従来から今日まで多種類実施されていたものであり、需要者にとって何らの斬新性もなく、また特殊なものでもなく、普遍的なデザインとして認識されているものである。

(2)  本件表示形態Bについて

原告は本件表示形態Bが昭和六〇年に原告出所に係るものとして周知になったと主張するが、右主張は事実に反する。即ち、乙第八号証(意匠公報)には、脇部分を境としてボディーの上下を色分けした多数の衣服デザインが登載されている。殊に、意匠登録第二二七〇九八号意匠は、既に権利期間一五年が満了し、現在は誰でも自由にこの意匠を実施できるものである。また、同第五二四一二八号、第五二八四一四号のものは、同類のデザインをもつものであるが、いずれも原告設立前に出願されたものである。更に、乙第一一、一四、一九及び二一号証にも、本件表示形態Bに類似する商品表示のものが公開されている。

これらからも明らかなように、本件表示形態B及びこれに類似のものは、従来から今日まで多種類実施されていたものであり、需要者にとって何らの斬新性もなく、また特殊なものでもなく、普遍的なデザインとして認識されているものである。

(3)  本件表示形態Cについて

原告は本件表示形態Cが昭和六一年に原告出所に係るものとして周知になったと主張するが、右主張は事実に反する。即ち、乙第五号証(意匠公報)には、左胸部に標章を顕著に横書きし、背部に標章を顕著に大書した衣服デザインが登載されている。ことに、意匠登録第二一七七一六号、第四五二九四二号、第五五一六〇七号、第五五七九六八号、第五六一〇六四号、第六九四七四二号第七三九二四一号等これに該当するものは多数存在する。更に、乙第一一、一六、二〇、二二、二四、二五、二六号証には、左胸部に標章を顕著に横書きし、背部に標章を顕著に大書した衣服が掲載されている。

これらからも明らかなように、本件表示形態C及びこれに類似のものは、従来から今日まで多種類実施されていたものであり、需要者にとって何らの斬新性もなく、また特殊なものでもなく、普遍的なデザインとして認識されているものである。

(4)  本件表示形態Dについて

本件表示形態Dが昭和五九年に原告出所に係るものとして周知になったと主張するが、右主張は事実に反する。即ち、乙第五号証(意匠公報)には、胸部中央に標章を顕著に表し、背部に標章を大書した衣服デザインが登載されている。殊に、意匠登録第五五七九六八号、六八八一〇六号、七三九二四一号等のものがこれに該当する。また、乙第六、七、九、一〇、一二、一三、一五~二六号証にも、本件表示形態Dに類似のものが多数掲載されている。

これらからも明らかなように、本件表示形態D及びこれに類似のものは、従来から今日まで多種類実施されていたものであり、需要者にとって注意を喚起されるものではなく、普遍的なデザインとして認識されているものである。

(三) 被告商品は原告商品と混同されるおそれはない

(1)  原告は、被告の商標「m i k i S P O R T S」を、意図的に「m i k i」と「S P O R T S」とに分離して把握したうえ、その主張を展開している。しかしながら、原告の商標「m i k i H O U S E」も、被告の商標「m i k i S P O R T S」も、いずれも前半部「m i k i」と、後半部「H O U S E」又は「S P O R T S」とが、それぞれ不可分一体に結合した意味不明の造語である。したがって、いずれの商標も前半部と後半部とを分断する特段の理由はなく、原告の商標「m i k i H O U S E」の呼称は、「ミキハウス」のみであり、「ミキハウス」と「ミキ」と「ハウス」の三個の呼称が生じるのではない。そしてそれは一連の「m i k i H O U S E」として、外観及び観念が認識されるのである。同様に、被告の商標「m i k i S P O R T S」も、「ミキスポーツ」の呼称のみが生じ、一連の「m i k i S P O R T S」として外観及び観念が認識されるのである。

原告主張の誤りは、以下のように「ミキ」を含んだ多くの登録商標がある事実からみても明白である。即ち、「MIKIPEARL」(乙三一の1、2)、「MIKI」「美貴」(乙三二の1、2)、「MIKIROLL」「ミキロール」(乙三三の1、2)、「ミキミキ」(乙三四の1、2)等の登録商標の存在である。これらの登録商標は、いずれも原告の登録商標「m i k i H O U S E」の出願前に出願され、登録される時点において有効に存在していたものである。もしこれらの商標が、前半部「ミキ」又は「MIKI」と後半部とに分断することができ、かつ原告の商標「m i k i H O U S E」も原告主張のように前半部「m i k i」と後半部とに分断して認識できるとすれば、原告の右商標と先出願の右商標とは呼称において類似することとなり、後願の原告商標は登録されなかったはずである。原告の商標「m i k i H O U S E」は「ミキハウス」とのみ呼称され、かつ前半部と後半部が一体不可分に結合した意味不明の造語として、呼称は勿論、外観上、観念上において認識されたが故に登録されたことは明らかである。換言すれば、原告の登録商標「m i k i H O U S E」は前半部と後半部とが一体連続的に結合し、不離一体のものとして初めて自他識別機能を発揮し得るものなのである。現に、原告の右商標登録出願後に、「MIKI LAMAIR・ミキラメール」なる商標が一七類で出願され、登録されている(乙三五の1、2)。また、同じく原告の右商標登録出願後に「MIKI・美貴」との商標が出願され、審査をパスして出願公告されている(乙三六)。

被告の商標「ミキスポーツ」が、右各商標の存在にもかかわらず、登録されている(乙二九、三〇)のは、この一連の語である商標が分断することができず、不離一体で一つの商標が成立しているとの認識に基づくからである。

(2)  被告商標の「色鉛筆を曲げたような書体」が、原告の商品・商標に新規で特殊なものではなく、従来より存在し普遍的に使用されてきたものであることは前記のとおりである。原告商標「m i k i H O U S E」も、被告商標「m i k i S P O R T S」も、一体不可分に結合した一連の造語であるから、仮に前半部が同じであっても、後半部の「H O U S E」が五文字構成、「S P O R T S」が六文字構成と相違し、また後半部の最初の文字が原告では「H」、被告では「S」と異なるのみならず、被告商標にある「P」も「R」も「T」も原告商標中にはない。両者に共通する文字は「S」と「O」のみであり、両商標は外観上明らかに相違し、非類似である。

被告商品においては、その商標「m i k i S P O R T S」が、従来から多数の業者が多く実施してきたように、衣服の際立って目立つ箇所に、衣服の地色と異なる色彩をもって顕著に施されている。即ち、商品表示の全体において、最も需要者の目を引きつける部分(要部)に、その商標を顕著に表示しており、このことは、原告の主張するように、まさに「商品の出所を誇示するために」、商標を衣服に顕著に表しているものであり、自己の出所表示機能を発揮させるのにこれ以上の方法はないというべきである。需要者は、商品を見た瞬間に、要部である商標に目が引きつけられ、直ちに被告商標「m i k i S P O R T S」を容易に認識するから、被告商品と原告商品との混同が生じるおそれはない。

また、衣服の際立って目立つ箇所(商品表示の要部)に顕著に表示された両商標を需要者が見るとき、「H O U S E」も「S P O R T S」もいずれもいわば日本語化した英語であり、しかも今日では我が国において英語が相当程度普及しているから、何人も一目で両商標を外観・観念において明瞭に識別できるから、「m i k i H O U S E」と「m i k i S P O R T S」とを彼此混同するおそれは全くない。

原告の主張によっても、原告の商標が一般的に「S P O R T S」という文字と共に使用されているというのではない。そのような例があるというにすぎない。前記のとおり、「m i k i H O U S E」と「m i k i S P O R T S」は、いずれも不可分一体の一つの商標としてそれぞれ自他商品識別力を発揮しているものである。原告においてその商標を使用する際に「S P O R T S」という文字を併記する場合が僅かにあったからといって、これらの商標に混同が生じるとは考えられない。なお、被告の商標「ミキスポーツ」の出願前に「MICASPORTS・ミカスポーツ」という商標(乙三七の1、2)及び「MISS SPORTS・ミス スポーツ」という商標(乙三八の1、2)が出願されていたが、これら登録商標の存在にもかかわらず、後願である被告の右商標は、外観・称呼・観念において自他商品識別力を有するものとして商標登録された。以上の点からして、原告指摘のような事実があるとしても、原告商品と被告商品との間に出所混同を生じるおそれは全くないといわざるをえない。

なお、被告の商標「ミキスポーツ」について、その出願広告後、原告はこれに異議申立をし、「原告の周知著名な商標「m i k i H O U S E」と右「ミキスポーツ」とが、具体的な取引において出所混同のおそれがある、即ち、「ミキスポーツ」が商標法四条一項一五号に該当する」旨主張したが、特許庁は、平成元年五月二四日、「被告の商標と原告の周知著名な登録商標とは、その構成・態様を異にするものであるから、商標が別異である以上、被告の商標が需要者に対し商品の出所につき混同を生ぜしめるおそれがあると言えない」として、原告の右異議申立を斥けている(乙三九、四〇)。

(四) 「m i k i H O U S E」と「m i k i S P O R T S」の非類似

(1)  原告は、通常取引における動態的観察を通しての、商品たる衣服の種類、デザイン、商標の付し方、大文字と小文字を混在させる構成での商標の書き方、丸みを帯びた字体等の各要素を内包する全体としての原告の周知商品表示と被告の商品表示との類似性、両商品の誤認混同のおそれを主張するが、結局は、この全体としての商品表示を比較する場合、当該商品の要部、即ち当該商品表示の商品個別化機能を有する部分を比較せざるをえない。原告の主張する原告商品の商品表示のうち、その登録商標「m i k i H O U S E」を除去した場合、原告商品の衣服は、それを個別化する認識手段を有していないことは明らかであるから、原告商品の商品表示の要部は「m i k i H O U S E」との商標部分にあるといわざるをえない。そうすると、原告主張の原告商品の商品表示と被告商品との誤認混同の問題は、結局、原告商標「m i k i H O U S E」と被告商標「m i k i S P O R T S」との類似ないし誤認混同の問題に帰着し、両者は類似しないし、誤認混同のおそれもないことは前記のとおりである。なお、仮に、原告主張の、商標の付し方やデザインも要部になると考えても、原告商品被告商品との間に誤認混同のおそれがないことも前記のとおりである。

(2)  原告は、指定商品区分第二一類に関し、「m i k i H O U S E」なる標章について、現在左記の商標権を有している。

<1> 商標登録第一七三七三四六号

<2> 同   第一八二三八三〇号

<3> 同   第一八二三八三一号

<4> 同   第二〇四九三三〇号

<5> 同   第二〇四九三三一号

そして、右各商標はいずれも商標法七条所定の連合商標として登録されている。

他方、原告は、同じ指定商品区分第二一類に関し、「m i k i S P O R T」なる標章について左記<6>の商標権を、「m i k i S P O R T S」なる標章について左記<7>の商標権を有している。そして、右両商標も連合商標として登録されている。

<6> 商標登録第二二三五三七三号

<7> 同   第二二六六六八三号

しかし、同じ指定商品区分第二一類に関しながら、<1>ないし<5>の商標と、<6>及び<7>の商標とは、連合関係になく、それぞれ全く別個の商標として登録されているのである。

連合商標の制度は、自己の商標権の禁止権の範囲(類似範囲)について、商品の出所の同一性が保証されていることを前提にして、互いに接触関係にある登録商標の併存を予め明確にし、類似範囲の侵害に対し迅速確実な救済を保障する制度であり、類似関係にある標章については、連合商標の商標登録を受ける以外には商標登録を受けることができないものとされている。したがって、原告が、同じ指定商品区分第二一類に関し、「m i k i H O U S E」なる商標とは別に、連合商標としてではなく、「m i k i S P O R T」ないし「m i k i S P O R T S」なる商標について商標登録を受けている事実は、両商標が非類似の関係にあることを、原告も認識し、かつ特許庁もそのように判断していることを示している。これら各商標は、第一に、原告主張の「色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある」書体で表現されているし、第二に、商標の前半部「m i k i」の「m」と「i」を小文字、「k」を大文字とし、かつ後半部の文字を共に大文字として一連同大に表記構成しているのである。原告は、本件訴訟において、原告商標「m i k i H O U S E」について、右第一及び第二の特徴が被告商標「m i k i S P O R T S」のそれと共通するため、両商標は類似し誤認混同のおそれがある旨主張するが、右原告主張が正しいとすれば、同じ指定商品区分第二一類に関し、<1>ないし<5>の商標と、<6>及び<7>の商標とが、連合関係になく、それぞれ全く別個の商標として登録されるはずがないのであり、それが現実には全く別個の商標として登録されていることは、右原告主張が誤りであり、原告商標「m i k i H O U S E」と被告商標「m i k i S P O R T S」とが非類似の関係にあることの証左である。

なお、原告・被告商品のような指定商品区分第一七類に属する衣服等の商品においては、そのデザインは今日余程奇抜なものでないかぎり、顕著性を取得しえないことは周知のことである。原告主張の原告商品のデザイン(例えば、衣服の形態や色彩コントラスト等)は、現代においては、商品を個別化する認識手段に該当するほど斬新でも顕著でもないことはいうまでもなく、我々の周囲を見渡せば容易に理解できることである。

(3)  被告代表者泉谷義勝は、予て出願中の、指定商品区分を第一七類とする、「ミキスポーツ」なる標章について、平成元年一一月二八日、商標権設定の登録を受けた。同人は、同年一一月三〇日「MIKISPORTS」なる商標につき、連合商標登録の出願をし、同出願につき平成三年三月二九日出願公告がされた(乙五三~五五)から、その商標権設定登録も早晩にされるものと考えられる。更には同人は、本件で問題となっている「m i k i S P O R T S」なる標章についても、平成二年一一月五日連合商標登録出願をした(乙五六、五七)から、これについても指定商品区分第一七類で商標権設定登録がされることは確実である。何故ならば、右「ミキスポーツ」の商標出願に対し、原告は原告の有する登録商標「m i k i H O U S E」に類似するとして異議申立したが、両商標は非類似と判断されて右異議申立は却下されているからである。

そして、被告商品に使用の右商標「m i k i S P O R T S」が設定登録されれば、不正競争防止法六条が適用されることとなり、これにより被告の右商標使用は正当な権利行使となる。不正競争防止法六条が登録商標を適用除外にしているのは、正当な権利行使を保護するとともに、商標法を優位におき不正競争防止法との不整合を避けるためてあると考えられる。したがって、前記事情から被告の右商標使用が将来正当な権利行使と認められる高度の蓋然性のある本件においては、原段階において不正競争防止法六条を準用すべきである。

(五) 原告主張の裁判上の和解について

原告主張の仮処分申請があり、同事件が裁判上の和解により解決したことは原告主張のとおりであるが、同事件において問題とされた商品は本件の被告商品とは異なるものである。被告が同仮処分事件において和解に応じたのは、同事件において問題とされた商品の製造販売を当時していなかったので、原告との無用な争いを避ける意味で和解しただけである。

【被告主張に対する原告の反論】

(一) 被告は原告の各商品表示形態の各構成を分断し、分断した各構成ごとにそれが従来より存在していた表示形態である旨主張するが、原告は、基本的商品表示及び本件表示形態AないしD全体が原告の商品を表示するものとして周知性を取得したと主張しているのであって、その構成たる書体自体について権利を主張しているものでもないし、また衣服の胸部に標章を付したことについて権利を主張しているものでもない。

原告は、右のような書体によって表された標章を、色彩のコントラストの強い商品のその目立った箇所に表示することによって、原告の本件商品の表示自体が周知となったと主張しているのである。したがって、右分断した個々の構成が従来存在していたという事実は、何ら原告主張に影響を及ぼすものではない。このことは、あたかも特許発明において、個々の構成要件が公知であっても、それを発明目的に向けて有機的に結合した全体が新規であれば、特許されるのと同様であり、右被告主張は意味がない。

(二) 不正競争防止法一条一項一号にいう「商品表示」とは、商品に付された出所識別標識であって、出所識別機能を有する限り、その標識が、本来的(一次的機能)としてそれを持つか、副次的(二次的)に有するに至ったかを問わず、商品表示たり得ると一般に解されており、同号例示の「他人の氏名、商号、商標、商品の容器包装」はもとより、商品の形態、色彩、模様等もこれに含まれ得るのである。

したがって、具体的事案において商品表示の類似非類似を考える場合、商標・商品形態・色彩等、当該商品に付された出所識別標識が数個あるとき(以下、それぞれを「各部分」という)、各部分がそれ単独では出所識別機能を有しない場合でも、全体が有機的に結合して出所識別機能を有する場合には、それらが全体として一個の商品表示となっている訳であるから、各部分に分断して、各部分ごとに個別に類否の判断をするのは誤りであり、あくまで全体としての商品表示を対比しなければならない。そして、各部分を微視的・分析的に比較する限りにおいては類似といえない場合であっても、総合的・全体的観察では両商品表示が類似しているか、又は商品の誤認混同のおそれがある場合には、不正競争行為といわなければならない。

しかも、その判断は、通常の取引行為を念頭に置いての動的観察でなければならない。このことは、取引者又は需要者の商品の誤認購買を誘発して不正の利益を挙げんとするような競争行為を抑止しようとする不正競争防止法の精神からみて当然である。最高裁判所判決(昭和五九年五月二九日民集三八巻七号九二〇頁)も、「取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、呼称又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきものである」と判示している。

本件事案においては、標章等前記各要素がそれぞれ有機的に結合しているため、全体として、原告商品と被告商品は非常に紛らわしく、商品の混同を招いているのである。

(三) 被告は、大阪市中央区難波西一丁目九-一二において、その商品を大々的に販売している(検甲二七の1~3)。この店舗の外形からみて原告の店舗と間違い、その商品を外側から見るとき原告の商品と誤認するものばかりである。

(四) 被告は、被告提出の乙第一、二号証記載の多くのレタリングのうちから、原告と同じレタリングを採用し、しかも原告と同じ表示方法を用い、そのうえ同じ配置、配色としたものを販売している。

原告の本件標章は、既に存在するレタリングをそのまま普通の方法で選択したものではなく、「ミキハウス」の文字について、前半部の「m i k i」のうち「m」と「i」を小文字にする一方、「k」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「H O U S E」をすべて大文字として一連同大に表し、これらを一連に統一された外観が得られるよう表示したものである。

ところが、被告の標章も右と全く同様に、既に存在するレタリングをそのまま普通の方法で選択したものではなく、「m i k i S P O R T S」の文字について、前半部の「m i k i」を原告標章のそれと全く同じ方法で大文字小文字の混合により一連同大に表し、また後半部の「S P O R T S」を原告標章の後半部と同じ方法で全て大文字として一連同大に表し、これらを一連に統一された外観が得られるよう表示したものである。この被告行為は、原告の信用に只乗りし、顧客をして原告の商品と誤認混同せしめるためであることは明らかである。

2  争点2(被告の損害賠償責任)

【原告の主張】

(一) 原告に生じた損害金額

(1)  被告は被告商品を次のとおり販売した。

<1> イ号商品

平成元年三月から一〇月までの間、イ号商品を単価八六〇〇円以上で合計七二〇〇枚以上販売し、六一九二万円以上の売上を得た。

<2> ロ号ないしニ号商品

平成元年三月から一〇月までの間、ロ号ないしニ号商品を平均単価五四〇〇円以上で合計一万四四〇〇枚以上販売し、七七七六万円以上の売上を得た。

<3> ホ号ないしト号商品

平成元年三月から一〇月までの間、ホ号ないしト号商品を平均単価四七〇〇円以上で合計七二〇〇枚以上販売し、三三八四万円以上の売上を得た。

<4> チ号ないしヲ号商品

平成元年三月から一〇月までの間、チ号ないしヲ号商品を平均単価七〇〇〇円以上で合計一万四四〇〇枚以上販売し、一億八〇万円以上の売上を得た。

<5> ワ号ないしタ号商品

平成二年六月から七月二五日までの間、ワ号ないしタ号商品を単価各五〇〇〇円で合計一二〇〇枚(各三〇〇枚)販売し、六〇〇万円の売上を得た。

<6> レ号商品

平成二年六月から七月二五日までの間、レ号商品を単価七〇〇〇円で合計二〇〇枚販売し、一四〇万円の売上を得た。

<7> 右売上合計は二億八一七二万円となる。

(2)  被告は、韓国の業者にイ号ないしレ号商品の生産委託をしているが、売上金額中、生産委託費が三〇%、一般経費が一〇%であるから、その六〇%が被告の利益である。即ち、被告は右売上により一億六八九九万二〇〇〇円(二億八一七二万円×〇・六)の利益を得た。

(3)  原告は右と同額の損害を受けた。

(二) 被告の責任

右被告行為につき被告に故意又は過失がある。

【被告の主張】

(一) 被告商品の販売数量及び販売価格

原告主張期間における、被告商品の販売数量及び販売価格は次のとおりである。

(イ号商品関係)

定価 九八〇〇円(但し、上下一揃えでのみ販売)

小売店舗販売数 約三〇枚

卸販売数 約七〇枚(単価 四〇〇〇円)

色は三種類あるが、色別の枚数は不明

(ロ、ハ号商品関係)

定価 四九〇〇円(但し、上下一揃えでのみ販売)

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約五〇〇枚(単価 二〇〇〇円)

色は三種類あるが、色別の枚数は不明

(ニ号商品関係)

定価 五九〇〇円

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約一〇〇枚(単価 二五〇〇円)

色は三種類あるが、色別の枚数は不明

(ホ、ヘ号商品関係)

定価 三九〇〇円

小売店舗販売数 約二〇〇枚

卸販売数 約三〇〇枚(単価 一五〇〇円)

色は一〇種類あるが、色別の枚数は不明

(ト号商品関係)

定価 三九〇〇円

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約二〇〇枚(単価 一五〇〇円)

色は五種類あるが、色別の枚数は不明

(チ、リ、ヌ号商品関係)

定価 五九〇〇円(但し、上下一揃えでのみ販売)

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約四〇〇枚(単価 二五〇〇円)

色は五種類あるが、色別の枚数は不明

(ル号商品関係)

定価 七八〇〇円(但し、上下一揃えでのみ販売)

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約三〇〇枚(単価 三〇〇〇円)

色は三種類あるが、色別の枚数は不明

(ヲ号商品関係)

定価 六九〇〇円(但し、上下一揃えでのみ販売)

小売店舗販売数 約一〇〇枚

卸販売数 約七〇〇枚(単価 二二〇〇円)

色は三種類あるが、色別の枚数は不明

また、以上のいずれの商品に関しても、小売店舗における販売数量のうち、シーズンオフに定価以下の価格で販売したものが含まれているが、その販売価格及び販売数量は不明である。

(二) 原告は被告売上の六割を利益と主張しているが、右主張は不当である。

第三争点に対する判断

一  争点1(商品表示性、周知性及び混同のおそれ)

1  【原告の主張】(一)の事実(原告の営業)は、証拠(甲六一六の1~12、六二一)及び弁論の全趣旨により、これを認めることができる。

2 【原告の主張】(二)の事実(原告の商品表示)中、(2) の「原告の有する商標権」及び(4) の「原告の商品の具体的形態」に記載の商品を原告が製造販売している事実は当事者間に争いがなく、その余の事実は、証拠(甲一~一五の各1、2、一六~二九、六一二、六一六の1~12、六一七の1~5、六一八の1~3、六一九の1~4、六二〇の1~3、六二一、六二二の1~23、六二三の1~24、六二四、検甲一~一四、二九)及び弁論の全趣旨により、これを認めることができる。

3  【原告の主張】(三)の事実(原告の商品表示の周知性)中、(1) の「原告の宣伝広告」に記載の宣伝広告がされた事実は当事者間に争いがなく、その余の事実は、証拠(甲三〇~八九、九〇の1、2、九一~一七三、一七四の1、2、一七五~六〇七、六一六の1~12、六一七の1~5、六一八の1~3、六一九の1~4、六二〇の1~3、六二一、六二二の1~23、六二三の1~24、六二四)及び弁論の全趣旨により、これを認めることができる。

4  【原告の主張】(四)の事実(被告の営業)は、当事者間に争いがない。

5  【原告の主張】(五)の事実(被告商品)は、当事者間に争いがない。

6  【原告の主張】(六)の事実(商品表示の類似性及び混同のおそれ)中、(2) に記載の仮処分申請があり、同事件が裁判上の和解により終了したことは当事者間に争いがなく、その余の事実は、右1ないし5の事実、証拠(甲一六~二九、六〇八~六一二、六一五の1~3、検甲一~二七、二八の1~3、二九~三四)及び弁論の全趣旨により、これを認めることができる。そして、甲第六一五号証の1ないし3によれば、一般需要者が原告商品と誤認して被告商品を購入した事実、すなわち市場において被告商品が原告商品と現実に誤認混同されたことがある事実を認めることができる。

7  結論

以上のとおりであるから、原告商品における「m i k i H O U S E」の英文字をあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で表してなる本件標章を表示し、この本件標章を衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示し、しかも商品の地色と本件標章との色彩のコントラストを強調した原告の基本的商品表示を基本とする原告の商品表示AないしDは、いずれも原告の商品表示として遅くとも昭和六一年には国内の需要者間に周知となったものであり、被告のイ号ないしレ号商品に表示された形態は、原告の商品を表示するものとして需要者間に周知されている本件表示形態AないしDと類似し、その結果、被告のこれら商品は市場において原告の商品と混同を生じるものと認めざるをえない。

8  被告の主張について

被告は、原告が原告商品の基本的商品表示として主張する特徴(本件標章の書体や衣服の際立って目立つ箇所に顕著に標章を施した商品)は、原告商品に独特のものではなく従前よりあったものであり、原告主張の本件表示形態AないしDも原告商品に特殊なものではなく、従来から今日まで多種類実施されていたものであって、需要者にとってなんらの斬新性もなく、普遍的なデザインとして認識されているものである旨主張する。しかしながら、原告の基本的商品表示及び商品表示AないしDを、それを構成する個々の構成部分に細かく分割・分析し、各構成部分を個別に抽象化して観察した場合は、被告指摘の乙号各証により、被告主張のとおりそれらが従来よりあった書体やデザインであることを認めることができるけれども、原告商品が、周知著名商標となっている本件標章を中核に、各構成部分を有機的に結合した、基本的商品表示及び商品表示AないしDを備えることにより、全体として商品表示性及び周知性を取得したと認められる本件においては、右被告主張事実があっても、当裁判所の右認定を左右することはできない。各部分を微視的・分析的に比較する限りにおいては類似といえない場合であっても、総合的・全体的観察では両商品表示が類似し、商品の誤認混同のおそれがある場合には、不正競争行為といわなければならない。

また、被告は、原告の主張する原告商品の商品表示から本件標章を除去した場合、原告商品を個別化する認識手段を有していないことは明らかであるから、原告商品の商品表示の要部は「m i k i H O U S E」との商標部分にあるといわざるをえず、そうすると、原告主張の原告商品の商品表示と被告商品のそれとの誤認混同の問題は、結局、原告商標「m i k i H O U S E」と被告商標「m i k i S P O R T S」との類似ないし誤認混同の問題に帰着し、両者は類似しないし、誤認混同のおそれもない旨主張する。しかしながら、ある商品表示が不正競争防止法一定一項一号にいう他人の商品表示と類似のものにあたるか否かについては、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきものであり(最高裁判所昭和五九年五月二九日判決民集三八巻七号九二〇頁)、これを本件についてみると、原告の本件標章は、既に存在するレタリングをそのまま普通の方法で選択したものではなく、「ミキハウス」の文字について、前半部の「m i k i」のうち「m」と「i」を小文字にする一方、「k」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「H O U S E」をすべて大文字として一連同大に表し、これらを一連に統一された外観が得られるよう表示したものであるが、被告標章も右と全く同様に、既に存在するレタリングをそのまま普通の方法で選択したものではなく、「m i k i S P O R T S」の文字について、前半部の「m i k i」を原告標章のそれと全く同じ方法で大文字小文字の混合により一連同大に表し、また後半部の「S P O R T S」を原告標章の後半部と同じ方法で全て大文字として一連同大に表し、これらを一連に統一された外観が得られるよう表示したものであって、両者は外観的に一見紛らわしいうえ、被告は右被告標章を、原告商品と同様の配色・デザインにした被告商品に原告商品と同様の態様で表示しているため、全体として、原告商品と被告商品は非常に紛らわしく、商品の混同を招いているから、右被告主張も採用できない。

9  したがって、請求の趣旨第一、二項の請求は理由がある。

なお、被告が出願公告決定を受けた商標「MIKISPORTS」そのものが、抽象的には、本件標章に類似しないことは被告主張のとおりと認められるけれども、被告商品における商標の使用態様は、右商標「MIKISPORTS」そのものを使用するものではなく、右商標に類似する「m i k i S P O R T S」を使用するものであるうえ、前記認定のとおりその使用態様が商標法一条所定の目的に反するものであるから、被告が商標「MIKISPORTS」につき商標権設定登録を受ける可能性が強いとしても、右判断を変更することはできない。

また、被告が商標登録出願した商標「m i k i S P O R T S」については、単に出願中というだけであるうえ、同様にその使用態様が商標法一条所定の目的に反するものであるから、不正競争防止法六条を準用する余地はない。

二  争点2(被告の損害賠償責任)

1  原告に生じた損害金額

(一) 被告商品の販売総金額

証拠(乙四三、四四の1~3、四五の1~15、四六の1~18、四七の1~14、四八の1~12、四九の1~13、五〇の1~4、五一の1~12、五二の1~12、証人笠原正一)によると、被告商品の販売数量及び販売金額は次のとおりと認められる(右乙号証は小売部の販売分も卸売単価で記帳されているため、小売部に対する販売分は、その全数量を上代単価で販売したものと推認して、販売金額を算定)。

<1> イ号商品を含む品番九二〇二六の商品

小売分  二八枚  二七万四四〇〇円

卸売分  六九枚  三三万八一〇〇円

合計   九七枚  六一万二五〇〇円

<2> ロ号及びハ号商品を含む品番九五〇五〇の商品

小売分 一〇三枚  五〇万四七〇〇円

卸売分 四九六枚 一二四万〇四八四円

合計  五九九枚 一七四万五一八四円

<3> ニ号商品を含む品番九五〇五四の商品

小売分 一〇一枚  六九万六九〇〇円

卸売分 一〇〇枚  三五万六五九二円

合計  二〇一枚 一〇五万三四九二円

<4> ホ号及びヘ号商品を含む品番九二〇三二の商品

小売分 一九九枚  七七万六一〇〇円

卸売分 三〇一枚  六〇万八五一七円

合計  五〇〇枚 一三八万四六一七円

<5> ト号商品を含む品番九二〇四三の商品

小売分  八五枚  三三万一五〇〇円

卸売分 一九二枚  三八万二三五六円

合計  二七七枚  七一万三八五六円

<6> チ、リ及びヌ号商品を含む品番九二〇四一の商品

小売分  八二枚  四八万三八〇〇円

卸売分 四〇三枚 一二二万三五四二円

合計  四八五枚 一七〇万七三四二円

<7> ル号商品を含む品番八四〇〇三の商品

小売分  九一枚  七〇万九八〇〇円

卸売分 三〇一枚 一二三万〇三七二円

合計  三九二枚 一九四万〇一七二円

<8> ヲ号商品を含む品番九二〇三四の商品

小売分 一〇一枚  六九万六九〇〇円

卸売分 六九八枚 二一六万七一五二円

合計  七九九枚 二八六万四〇五二円

<9> ワ、カ及びタ号商品

小売分 一〇六枚  四一万三四〇〇円

卸売分 一四二枚  二七万七二一二円

合計  二四八枚  六九万〇六一二円

<10> ヨ号商品

小売分  五〇枚  二九万五〇〇〇円

卸売分 一四二枚  四一万三二三六円

合計  一九二枚  七〇万八二三六円

<11> レ号商品

小売分  三二枚  一八万八八〇〇円

卸売分 一六〇枚  四七万八八四四円

合計  一九二枚  六六万七六四四円

<12> 販売額合計

右のうち、イ号商品は<1>の商品が色違いで三種類あるうちの一種類であり、ロ号及びハ号商品は<2>の商品が色違いで三種類あるうちの二種類であり、ニ号商品は<3>の商品が色違いで三種類あるうちの一種類であり、ホ号及びヘ号商品は<4>の商品が色違いで一〇種類あるうちの二種類であり、ト号商品は<5>の商品が色違いで五種類あるうちの一種類であり、チ、リ及びヌ号商品は<6>の商品が色違いで五種類あるうちの三種類であり、ル号商品は<7>の商品が色違いで三種類あるうちの一種類であり、ヲ号商品は<8>の商品が色違いで三種類あるうちの一種類であり、いずれも色別の枚数を明らかにすることができないので(弁論の全趣旨)、<1>の合計販売額に三分の一を乗じた額、<2>の合計販売額に三分の二を乗じた額、<3>の合計販売額に三分の一を乗じた額、<4>の合計販売額に一〇分の二を乗じた額、<5>の合計販売額に五分の一を乗じた額、<6>の合計販売額に五分の三を乗じた額、<7>の合計販売額に三分の一を乗じた額及び<8>の合計販売額に三分の一を乗じた額がイ号ないしヲ号商品の販売額であると推認し、これに<9>ないし<11>の合計販売額を合算すると、イ号ないしレ号商品の販売額の総計は、次のとおりとなる。

六八三万〇七八五円

(二) 被告の得た利益の額

証人笠原及び弁論の全趣旨によると、被告は右被告商品の販売により販売額の一五%にあたる一〇二万四六一七円の純利益を得たものと認めるのが相当である。

(三) 原告に生じた損害金額

以上の事実及び弁論の全趣旨によると、右被告商品の販売により原告に生じた損害金額は、右被告の得た純利益と同額の一〇二万四六一七円と認めるのが相当である。

2  被告の損害賠償責任

(一) 以上の事実及び掲記の各証拠を総合すると、前記認定の被告が不正競争防止法一条一項一号所定の行為に該当する被告商品を製造販売したことにつき、被告には少なくとも過失があると認められる。

(二) したがって、請求の趣旨第二項の請求は、右損害金一〇二万四六一七円及び内金七一万四六四三円(イ号ないしヲ号商品関係損害金)については平成元年一二月三日(訴状送達日の翌日)から、内金三〇万九九七四円(ワ号ないしレ号商品関係損害金)については平成二年八月三〇日(同損害金に関する訴の変更申立書送達日の翌日)から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余の部分は理由がない。

(裁判官 庵前重和 小澤一郎 辻川靖夫)

(別紙) 原告商標目録一~四

(別紙) 商標権目録

一 登録番号 第一五四八一二一号

指定商品 第一七類 被服、その他本類に属する商品

登録日 昭和五七年一一月二六日(但し、本件商標権は出願人である木村久一から原告へ譲渡されたものであり、その移転登録日は昭和五八年一一月一四日である。)

登録商標 別紙原告商標目録記載一のとおり

二 登録番号 第一七二九七五〇号

指定商品 第一七項 被服、その他本類に属する商品

登録日 昭和五九年一一月二七日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり

三 登録番号 第一七九七一六〇号

指定商品 第一七類 被服、その他本類に属する商品

登録日 昭和六〇年七月二九日

登録商標 別紙原告商標目録記載三のとおり

四 登録番号 第一九一一二八九号

指定商品 第一二類 自転車、その他本類に属する商品

登録日 昭和六一年一一月二七日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり

五 登録商標 第二〇四六二二六号

指定商品 第一九類 台所用品、日用品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載四のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

六 登録番号 第二〇四六二二七号

指定商品 第一九類 台所用品、日用品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

七 登録番号 第二〇四九三三〇号

指定商品 第二一類 かばん類、袋物、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載四のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

八 登録番号 第二〇四九三三一号

指定商品 第二一類 かばん類、袋物、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

九 登録番号 第二〇四九二八一号

指定商品 第二三類 時計、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告目録記載二のとおり

一〇 登録番号 第二〇八一八八二号

指定商品 第二二類 はき物、かさ、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年九月三〇日

登録商標 別紙原告商標目録記載四のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

一一 登録番号 第二〇八一八八三号

指定商品 第二二類 はき物、かさ、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年九月三〇日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

一二 登録番号 第二〇九三五九七号

指定商品 第二四類 おもちゃ、人形、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年一一月三〇日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり

一三 登録番号 第二〇八五四八三号

指定商品 第二五類 紙類、文房具類

登録日 昭和六三年一〇月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり

一四 登録番号 第二〇四九三二八号

指定商品 第二六類 印刷物、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載四のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

一五 登録番号 第二〇四九三二九号

指定商品 第二六類 印刷物、その他本類に属する商品

登録日 昭和六三年五月二六日

登録商標 別紙原告商標目録記載二のとおり(但し、色彩の印刷は省略)

(別紙)<1>~<20>次の写真に示す衣服<省略>

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